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雰囲気をうまく伝えよう

直感的な印象は、ユーザーの気持ちに直接はたらきかけます。雰囲気をうまく伝えましょう。

リアルに感じる言葉を選ぼう

人は何かの説明を聞いたとき、過去の記憶と照らし合わせながらその意味を理解します。人の記憶は元をただせばすべて感覚的な感触にもとづいていますので、ユーザーがリアルに感じる言葉を選ぶことによって雰囲気がダイレクトに伝わり、強い印象を残すことができます。

  1. 低温度のジュース
  2. 冷たいジュース

この2つは同じ意味の文ですが、相手に飲みたいと思わせるのは間違いなく「冷たいジュース」でしょう。だれも「低温度な状態のジュースを飲んでいる」と思ってジュースを飲んだことは無いはずです。思った経験が無い以上、なかなか「低温度のジュース」が「おいしい」とは感覚的に結びつかないわけです。

ユーザーの感覚にズバリと訴える言葉を見つけるのは大変ですが、リアル感を高めること自体は難しくありません。まずは、次の2つを試してみましょう。

形容詞を付け加える

形容詞とは「熱い」「大きい」「静か」など、ものの状態を表す言葉です。もし、「なんだかうまく表現できない」と思う部分があったら、形容詞を付け加えてみましょう。

  1. 冷たいアイスクリーム
  2. 冷たくおいしいアイスクリーム

「冷たくおいしいアイスクリーム」の方が、より魅力を感じさせるものになりました。形容詞は、一般的には五感から伝わることを元にした言葉なので、追加することで感覚的に伝わる情報が増え、リアル感が増すのです。

状態・程度の副詞を付け加える

副詞とは、その一語で他の言葉を修飾できる言葉です。「ゆっくり」「はっきり」など言葉の状態を補佐したり、「とても」「たいへん」など言葉の程度を補佐します。もし、「なんだか言い足りない」と思う部分があったら、状態・程度に関する副詞を付け加えてみましょう。

  1. お得なセールを開催します
  2. とてもお得なセールを開催します

程度の副詞を追加した「とてもお得なセールスを開催します」の方が、より魅力を感じさせるものになりました。このように状態や程度を示す副詞を付け加えることは、ユーザーに伝わる情報を増やしてリアル感を増します。

擬声語・擬態語を活用する

擬声語とは「ドカン」「ジャージャー」など音そのものを言葉にしたもので、擬態語とは「ずっしり」「ふんわり」など物事の状態を音に例えて表現する言葉です。多くが形容詞や副詞に分類されますが、その中でも特に直感的に伝わりやすい言葉です。

  1. 商品は多数ご用意しております
  2. 商品はたっぷりご用意しております

いずれも同じ意味の文ですが「商品はたっぷりご用意しております」の方がより満ちあふれている感じがしないでしょうか? 擬声語・擬態語は人の感覚そのものを音で表した言葉なので、ものの状態がうまく伝わるのです。

やわらかさと堅さのバランスをとろう

あなたは、自分のホームページを、ユーザーにどのように感じてもらいたいですか? 「やさしそう」「楽しそう」「クール」など、企画のコンセプトによって伝えたい印象は様々だと思います。

その中で、ユーザーの目にとまりやすく書き手も調整しやすいものが、口調によって変わる「やわらかさ・堅さ」です。まずは、文章の「やわらかさ・堅さ」を、あなたのホームページに合ったものにしてみましょう。

  • 弊社は、顧客満足こそ企業の命題であるという結論に至っております。故に・・・
  • 弊社は、お客さまの利益を追求することが、企業として1番大事なことだと考えています。そのため・・・

少し口調を変えただけですが、印象はずいぶん違って見えるのではないでしょうか? 私は、それぞれ「堅い感じの人」「やわらかい感じの人」を連想します。次に「やわらかく」書くためのポイントをあげますので、試してみてください。ポイントを逆に突けば「堅く」書くことも簡単にできます。

「です・ます」調にする

言葉の最後を「〜です」「〜ます」で結ぶ方法を、敬体と言います。「〜だ」「〜である」と結ぶ常体に比べて、日常の会話に近い形になるため、やわらかさが増します。

  1. この商品はお客さまの利便性を追求したものである(常体)
  2. この商品はお客さまの利便性を追求したものです(敬体)

常体の方は、まるで論文の一部です。レポートなど、客観的な視点から説明する文章には有効ですが、企業のホームページにはあまり向いていないでしょう。なお、文章の統一感を崩さないように文中で使用する文体はそろえるように気を付けてください。

ひらがな表記を増やす

日本語の文章は、漢字と仮名文字から構成されています。漢字があるからこそ言葉の意味がハッキリする側面もあるのですが、漢字が多いと堅く・難しい印象を与えてしまいます。

  1. お困りの事は、全てお任せ下さい
  2. お困りのことは、すべてお任せください

読みは全く同じ文ですが、ひらがなの多い2番目の方がやわらかく・やさしい感じになりました。ただし、あまりひらがなばかりにすると、幼稚な印象を与えるので注意してください。

あまりに漢字が続く場合、間に「の」を入れる

日本語では、「ネットで買い物」の「で」のように、単語と単語の間に助詞をはさんで、言葉の意味をつなげます。助詞の中には無くても意味が通じるものも多く、文章を書くときには省いてしまう傾向が強くなります。その結果、漢文のように漢字がずっと連続してしまい、難しい言い回しになることがよくあります。特に「の」という助詞は、漢字にはさまれると消えてしまいがちなので注意しましょう。

  1. 弊社は健康用品専門店です
  2. 弊社は健康用品の専門店です

どちらでも意味は通じますが、「健康用品専門店」と言うことはあまり無いはずです。2番目では「健康用品」「専門店」の間に「の」を入れることで、話し言葉に近くやわらかい印象になりました。

サ変動詞を減らす

サ変動詞とは「発見する」「開始し」のように漢字の熟語+「する・し」というように表現される言葉です。一般的には二字熟語+「し」「する」という形の言葉が多く用いられます。漢語に由来する動詞を体言止めにせず、日本語としてうまく表現する使うためのものです。そもそも日本語は太古からある和語と漢語が混ざってできたものですが、あまり漢語を由来とする言葉ばかりにすると難しい印象を与えます。

  1. メールを確認し次第、直ちに作業を開始し、2時間以内に結果をご報告します
  2. メールを確かめ次第、直ちに作業を始めて、2時間以内に結果をお知らせします

どちらも意味は同じですが、サ変動詞「確認し」「開始し」「報告し」を言い換えた2番目の方が、話し言葉に近く、やわらかい印象になりました。ただし、あまり減らしすぎると幼稚な印象になるので注意してください。

企画のコンセプトに合った言葉を選ぼう

あなたが話をするとき、同じ業界の相手となら専門的な言葉、友人とならコミュニティの中だけで通用する言葉など、相手によって使う言葉を分けているはずです。逆に、はじめての会合に加わったとき、そこで話されている言葉が聞き慣れないものだったたら、きっと居心地の悪さを感じることでしょう。

  • このクルマのステアリング操作はとてもシビアなので気を付けてください
  • このクルマは少しのハンドル操作で急ハンドルになりますから気を付けてください

1番目の例は「クルマに詳しい人を対象にしている」、2番目の例は「一般ドライバーを対象にしている」ように感じませんか? ターゲットとするユーザーにとって「居心地のよい文章」にするためにも、企画のコンセプトに合った言葉を選んで使いましょう。重要な用語については、グロッサリー(用語集)を作っておくなどの対策も有効です。

ユーザーに嫌われる「しつこさ」を無くそう

だれでも、嫌いなタイプの相手とは話をしたくないものです。特に、次にあげるような「しつこさ」は、ユーザーに嫌われがちなので注意しましょう。

行き過ぎたていねいさ

言葉の「ていねいさ」はほどほどにしておきましょう。ユーザーに対して礼儀よく接しているつもりが、かえって逆効果になってしまいます。

  1. ご購入がお決まりになりましたら、ご所望のお品をメールにてお申し付けいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
  2. ご購入がお決まりになりましたら、メールにてお知らせください。

1番目の例は「ていねいな言葉づかい」に終始した結果、かなりのわずらわしさを感じさせます。相手にもよりますが、2番目の例ぐらいが妥当な線でしょう。型にはまっただけの美辞麗句を重ねるのではなく、わかりやすく、読みやすい文章で「ていねいな」印象を出すようにしましょう。

過度なセールス文句

熱意があるあまり、つい、過度なセールス文句を使ってしまうことがあります。しかし、インターネットの情報は信ぴょう性が疑われやすい傾向にあるため、ユーザーは「ウソっぽさ」「怪しさ」が少しでも感じられる情報を信用しません。過度なセールス文句は使わないようにしましょう。

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1番目の例では、いかにも「悪徳商法」のようです。2番目のように、語調を少しやわらげるだけでもだいぶ「怪しい」雰囲気が減りました。

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