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文章をすっきりさせよう
単純でスリムな文章は、頭の中にすんなり楽に入ります。シンプル・スマートな、すっきりした文章にしましょう。
1文は50字程度におさえよう
どのような話も、基本的に「どんな・何が〜どうだから・どうした」という主述関係を組み合わせることでできています。文章を短くするほど主述関係が単純になり、回りくどさが無くなります。また、量が減るために、すんなり頭に入りやすく、意味を把握しやすくなります。
文章で主述関係を持つ最小の単位は「。」で区切られた1文です。まずは1文を短くするところから始めてみましょう。人は単語と単語の意味を結びつけながら理解していきますので、1文に含まれる単語の量が多いと意味をとらえにくくなります。1文を短くすることで、言葉と言葉の係り受けが単純化するため、メッセージが簡潔になり、意味がハッキリして、わかりやすく・読みやすい文章になります。
私の経験から言うと、わかりやすさ・読みやすさを考えたとき、1文の長さの上限は50字程度になるようです。(人によって40字,60字としている場合もあります)
- 弊社の新製品Aライフは、忙しい毎日を送っているビジネスマンの皆さまのために、健康をお守りするため年2回の無料健康診断を含み、万一の入院時にも安心していただけるよう完全な休業補償をお約束する、画期的な保険プランです。(105字)
- 弊社の新製品Aライフは、忙しい毎日を送っているビジネスマンの皆さまを対象にした画期的な保険プランです。まず、年2回の無料健康診断を行って健康をお守りします。そして、万一の入院の時にも安心して頂けるよう、完全な休業補償をお約束します。(50,26,37字)
1番目の例では、「Aライフ」は「ビジネスマンにとって画期的な保険プラン」という、メッセージの主述の位置が遠くなりすぎて、かなりの回りくどさを感じさせます。2番目の例では、1文が50字に収まるように話を切り分けたことで、「Aライフはビジネスマンにとって画期的な保険プラン」なぜなら「年2回の健康診断で健康を守る」「手厚い休業補償で入院しても安心」という話の意図がよくわかるようになりました。
「短くする」とは言っても、字数へのこだわりすぎには注意してください。言葉にはニュアンスがあるので、文をコマ切れにしすぎたり、必要な単語を削ってしまうと、メッセージの真意まで削ってしまいます。特に、カタカナ言葉の多い文章や、引用文のある文章では、1文をどう切り分けても字数はなかなか減りません。50字という数字は目安にとどめて、意味を削らないように短くする程度の気持ちでいれば大丈夫です。
言葉と言葉のつながりをよくしよう
もし、1文を短くしても回りくどさ・読みにくさが消えない場合には、言葉と言葉のつながりが悪くなっていることが考えられます。まずは次のことをチェックしてみましょう。
- 読点は適切な位置に打つ
-
人は文章を読むとき頭のなかで声を出して読みます。読点「、」はそのときに息継ぎをするポイントです。また、一拍休みがあることで、そこまでの言葉の意味を一まとまりとして理解させる作用があります。読点が無い・間違った位置に打っていると、息苦しく、誤解を招き、違和感を感じます。次のポイントに気を付けて、適切な位置に打ちましょう。
- 意味の切れ目に打つ…「防水性の高い製品なので、どんな雨の日も安心です」
- 主語のあとに打つ…「この製品は、たいへんお買い求めやすくなっております」
- 無いと意味があいまいになるときに打つ…「新しい、この商品の特徴は」
- いくつもの修飾語をつなぐときに打つ…「冷たく、おいしい、クリーミーなアイス」
- 接続詞のあとに打つ…「そして、〜」
- 数字をわけるときに打つ…「4、5日かかります」
- 修飾部と被修飾部は離さない
修飾部とは、メッセージの「どんな・何が」における「どんな」。被修飾部とは「何が」のことです。人は近くにあるものに関連性を感じます。「どんな」「何が」が離れていると、間にある言葉との関係性をいちいち考えてしまうので、意味をスムーズに理解できなくなります。
- ハッキリした、弊社の特徴は
- 弊社のハッキリした特徴は
この例では、「ハッキリした特徴」としてつなげることで、回りくどさが消えました。
- 修飾部は「長」「短」の順に書く
では、修飾部が多数ある場合には、どうつなげればいいのでしょうか? 人は、短いものより長いものに意味の重みを感じます。先に短い修飾部を置くと、間に入った長い句のせいで言葉の意味が頭から離れてしまいます。修飾部を「長」「短」の順に書いておくことで、意味のつながりがスッキリします。
- 従来の、あらかじめストックされた商品を加工する製法とは異なり…
- あらかじめストックされた商品を加工する、従来の製法とは異なり…
この例では、「製法」という言葉に「従来の」「あらかじめストックされた商品を加工する」という2つの修飾部があります。「長」「短」の順に書いた2番目の例の方が、回りくどさがなくなりました。
- 言葉と言葉をつなぐとき「の」をあまり連続させない
-
「私のクルマ」というように、「の」は、後に来る言葉が、前にある言葉の一部だということを示すものです。このような助詞はたくさんあるのですが、その中でも「の」は汎用性が高いため、数多く使われます。同じ言葉が連続するとわずらわしく感じますので、「の」でつなげるのは多くても2回までにしましょう。
- あなたのお好みのメーカーのハンドルの値段をお調べします
- あなたがお好きなメーカーのハンドルについて値段をお調べします
この例では、「の」を最小限にするよう、他の言葉に置き換えたため、わずらわしさが消えました。
- 接続詞を多く使わない
「なぜなら」「そのため」など、理由をあげるときに前置きに使う接続詞の多くは、省いても意味が通じます。あまり多く書きすぎると、いかにも理屈っぽく、わずらわしさを感じさせるので、できるだけ量をおさえましょう。
- 私たちの目標は、何よりもまず、お客さまの利益を達成することです。なぜなら、お客さまの満足が無ければ、どんなに収益をあげてもその仕事は社会にとって不要なものだからです。そのため、私たちは徹底した「顧客コンサルティング」を行い、必要なことはなにかをしっかり把握してから提案の準備にとりかかります。
- 私たちの目標は、何よりもまず、お客さまの利益を達成することです。お客さまの満足が無ければ、どんなに収益をあげてもその仕事は社会にとって不要なものだからです。私たちは徹底した「顧客コンサルティング」を行い、必要なことはなにかをしっかり把握してから提案の準備にとりかかります。
2番目の例は、接続詞を削った結果、1番目の例に比べてかなりスッキリしました。意味合いが変わった様子もとくにありません。
理由が多い説明には箇条書きを有効に使おう
説明によっては、細かな理由をたくさん並べなければならない場合があります。このような場合、ひとつひとつを段落に区切ることもできず、長くて読みづらい文章になりがちです。そんなときには箇条書きを使って、本文と切り離してしまいましょう。箇条書きは「ミニ段落」の役割を果たして、見た目をすっきりと分けてくれます。
弊社の送風システムはランニングコストが低いことも魅力です。まず、フィルターは連続使用で3ヶ月から6ヶ月もの間交換不要です。フィルターの単価も1枚わずか300円とお安くなっています。電気代は月当たりたったの1000円。1年に一度必要な定期点検も、5000円でいたします。万一の故障の際も、修理費用は部品代だけで、出張費は無料です。
弊社の送風システムは、ランニングコストが低いことも魅力です。
- フィルターは連続使用で3〜6ヶ月交換不要。1枚わずか300円
- 月々の電気代はたったの1000円
- 年1回の定期点検は5000円で技術者が出張いたします
- 万一の故障の際にかかる費用は部品代だけ。出張費は無料です
1番目の例では、延々と「ランニングコストが低い理由」がつながっていて、長くて読みづらい文章になっています。2番目の例では箇条書きにすることで、個々の理由が見た目にもハッキリわかれ、文章がスッキリしました。
なお、HTMLには箇条書きを定義する書式が備わっています。番号付きのものと、番号の無しのものが定義できます。また、並べられた項目に対してそれぞれ説明文を書くことのできる「定義リスト」というものもあります。それぞれのタグの付け方は次の通りです。
- 番号付きの箇条書き
- 箇条書き全体をolという要素で、個々の項目をliという要素で定義します。
<ol>
<li>項目1</li>
<li>項目2</li>
</ol> - 番号無しの箇条書き
- 箇条書き全体をulという要素で、個々の項目をliという要素で定義します。
<ul>
<li>項目1</li>
<li>項目2</li>
</ul> - 定義リスト
- リスト全体をdlという要素で、項目名をdtという要素で、説明文をddという要素で定義します。
<dl>
<dt>項目1</dt>
<dd>説明文1</dd>
<dt>項目2</dt>
<dd>説明文2</dd>
</dl>
この場合は、次のように表示されます。
- 項目1
- 説明文1
- 項目2
- 説明文2
表や図版は積極的に使おう
ユーザーに説明することの中には、製品データ、売り上げの収支報告、写真・地図など、文章の表現力だけでは説明しにくいものもあると思います。これを無理に文章だけで説明しようとしても、かなりの文章量を割く上、内容が複雑になってうまく伝わりません。
表や図版は用意するのが面倒なものですが、強い説得力と豊富な表現力を持っていて、意味を簡潔に伝えることができます。言葉ではうまく説明できないと感じたときには、無理に文章化せず、表や図版をうまく使うようにしましょう。
- 製品AとBを比較すると、横幅がそれぞれ120cmと140cm,奥行きが100cmと120cm,高さが60cmと70cmとなっております。
- 製品AとBの比較(単位 cm)
製品名 幅 奥行 高さ タイプA 120 100 60 タイプB 140 120 70
- 弊社へのアクセス方法:まず、「山の手駅」を降りて、「荒川デパート」の方角に進んでください。その手前にある信号を左手に折れ、2ブロック目に「ソリューションズビル」がありますので、4階の受付で担当の者をお呼びください。
- 弊社へのアクセス方法
「山の手駅」下車、「荒川デパート」方面に進み、「ソリューションズビル」4F受付で係の者をお呼びください。
それぞれ、表や図版を用いた2番目の説明の方が、スッキリ・わかりやすくなりました。ただし、表や図版を、何の説明も施さない「置いてあるだけ」の状態にはしないように注意してください。かえって意味不明の情報になり、理解を妨げてしまいます。2番目の例のように、簡潔な説明を残しておくのが望ましい形です。
なお、HTMLで表や図版を定義する方法は、次のとおりです。
- 表
- 表全体をtable要素で、1つ1つの行をtr要素で、個々のデータをtd要素で定義します。
<table>
<tr>
<td>データ1</td><td>データ2</td><td>データ3</td>
</tr>
<tr>
<td>データ4</td><td>データ5</td><td>データ6</td>
</tr>
</table>
この例の場合は、つぎのように表示されます。
データ1 データ2 データ3 データ4 データ5 データ6 - 図版
- 図版の定義にはimg要素を使います。画像が置かれているurlとファイル名、大きさ、見えない場合に表示させる説明文を、次のように指定します。
<img src="画像のあるurlとファイル名" width="横幅サイズ" height="高さサイズ" alt="見えない場合の説明文" />